10月になって一気に寒くなって、初夏からずっと楽しみにしていた服を引っ張り出した。
それはGREEN DAYのdookieのスエット。タグもGREENDAYとしか入ってないから多分ツアーなりなんなりのグッズなのだと思う。
古着屋をやっている友達が彼女自身はそうと知らずに可愛いからと言う理由で仕入れたそうで、お店のインスタに写真が上がったとき、もうこれは欲しいと思った。
もしほかのアルバムなら別にそこまでの思い入れはないけど、dookieは中学から大学まで、学生時代を通してすげぇ聴いたアルバムのひとつ。そもそもGREEN DAYの存在を知ったのは言うまでもなく父の音楽ライブラリで、たしか当初はdookieしかなかったはず。そのあと図書館でAmerican Idiotとかを借りたような気がするし、高校の時友達たちに頼み込んでHolidayとAmerian Idiotをコピーした(わたしのギターはボロボロにヘタクソだったけど)。音楽を聴くことが生活の中で大きな意味を持ち始めた時期にヘビーローテーションしていたdookieのジャケットの絵はわたしにとって音楽を聴く喜びのアイコンでもあるのだと思う。
そんなわけでどこか誰かのお下がりだけど、わたしにとってはおニューなdookieスエットを着て、久しぶりにdookieを再生した。ここ最近はBUCK-TICKとか清春とか、とにかく日本のいわゆるヴィジュアル系ばかりだったけど、やっぱりわたしの根幹にあの当時きいていたパンクロックも確実にある。
で、GREEN DAYをきくと決まってピーターとひとつの後悔を思い出す。ピーターというのは中学のAETで、何ヶ国語も話せるのに日本語は話せないシャイな先生。
ベルギー人で車も服のセンスも渋くて、背が大きくて「脇役だけど雰囲気あって地味に人気な俳優」みたいな風貌だった。大概の生徒はそんなにAETの先生に対して思い出とかないと思うし、わたしも英語を話すのは苦手だったので最初はむしろなるべく話さないといけない状況を避けていたくらいだった。
そんなわたしがあるとき英語準備室の掃除当番になった。ピーターは掃除の時間になって周りの先生たちも掃除をし始めても断固何もしないのだけど、準備室のゴミ捨てだけは彼の役割だった。中身をすててきて空っぽになった袋を膨らませて、口の方を窄めてフラワー…とつぶやいていておもわず吹き出した。ヘンテコで可愛い人だと知った。
しばらくはそれだけだったけど、ある時なんでかGDの話になって(わたしがなにかの課題で書いたのかも。)「何が好きなの」って聞かれて「Basket case」って答えたら「アレいいよなー」「MVカラフルでクールだよね」とすごく少ない言葉と情報で意気投合したのだった。
それ以来「ハート…」(こころはHeartって意味ですっていう自己紹介をしたのだ)って声をかけてくれるようになり、英語研究室の掃除は他のところより若干楽しみな当番となった。ゴミ袋フラワーは結構な頻度で見せてくれた。今もそうなのか知らないけど、私の中学時代はまだ無言清掃という概念があったはず、確か。彼なりに謎に沈黙の時間を乗り切っていたのだろうなと今は思う。
そんなピーターと卒業後に思いがけない再会…をしそびれることになる。大学で配られた授業のリストに見覚えのある文字。ピーターという名はそう珍しくないにせよ、アメリカやイギリスの名前じゃない、特徴的な音の運びの苗字は間違いなくあのピーターだった。あらら、どっかにいるんだ!会えたらいいなー覚えてるかな〜なんてのほほんと思っていたのだけど、いざすれ違ったのはかつてと違ってにこりともせず険しい顔で構内を歩いている彼で、それきりついに卒業まで声をかける勇気を出せなかったのである。
その数年のちに妹が中学に入学してすぐの頃「ハートの妹ね!」と言われたという話を聞いて覚えててくれたんだろな…とすごく後悔したのだ。声をかけて「高校でコピーバンドやって、ヘタクソだったけどAmerican Idiotとか Holidayとかやったんだ!」って話せばよかったなぁって。
当時聞こえてくるピーターの授業の評価はそこまで芳しくなくて、わたしは彼の授業を受けてないし、だからどうというわけではないのだけど、あの時声をかけられなかった険しい顔が今も忘れられないのでした。いまはニコニコ楽しく生きていてほしいと心から思う。
そんなわけでGDのスエットきてdookieきいてついでにPeterのことも思い出した10月の初めです。
そういえば、車校のチャラ男先生にグリーンデイ好きなら次までにマイケミを聞いてこいよ!っていう課題を出されて、毎回感想を求められてたこともあった。なんだか先生たちとの思い出が強めだわね。
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