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『CATALOGUE THE BEST 35th anniv.』

BUCK-TICKのデビュー35周年記念コンセプトベストアルバム。


流石に無職の身では手を出せず、サブスク未配信なので、レンタルを待ちに待ってようやく!こちらに収録された新曲「さよならシェルター」を聴けるようになりました。


今までのたっっくさんの曲から選りすぐりの80曲を(これだけあってもまだなんでこれ入れてくれなかったの!!がゴロゴロあるのだから恐ろしい)5つのコンセプト 『RIBELO』『GOTIKA』『ELEKTRIZO』『FANTAZIO』『ESPERO』に分けて収録。ジャケには1人ずつメンバーの写真が当てられている。


アニイ盤は『RIBELO』。日本語にすると反乱。ロシアウクライナ間の戦争を受けて製作された新曲「さよならシェルター」をラストに掲げて「ゲルニカの夜」「ICONOCLASM」「極東より愛を込めて」…戦争や対立がモチーフになった曲が並ぶ。35周年のツアーや横アリ2DAYSのセットリストはここに収録されている曲に重心があった。わかりやすく反戦歌ではない。断定しないからこそ、その問いかけがわたしたちリスナーを揺らがし続けるのだと思う。あと2022MIXの「相変わらず〜」がめちゃくちゃカッコイイ。


ヒデは『GOTIKA』=ゴシック。これはもう説明不要でしょう。美しく、妖しく暗く。目を背けたくなる生々しさを纏ったかと思えば枯れ木のような死の気配も漂う。BUCK-TICKの世界観のゴシック要素をぎゅっと詰め込んであります。13階は月光と同様、わたしはちょっとこれだけを聞くと胸焼け気味になってしまう…笑 けどドップリとこの世界観にひたることができるはず。


『ELEKTRIZO』ジャケは今井さん。タイトルそのまま、まさしくテルミンをあやつる今井さん!って感じのテクノ強気ブチ上げアッパーチューンが並ぶ。今井盤、ほんとに全部が全部好きな曲なんだけど、わたし今井節すっげえ大好きなはずなんだけど、それだけをまとめて聴くとやっぱり若干お腹いっぱいになる…というのは新しい発見であった…。ライブ常連曲のなかにそんなにやってるイメージない大好きな「BRAN-NEW LOVER」が入れられてるのが嬉しい。


湿った生々しい感情で迫ってくるあっちゃん盤『FANTAZIO』=幻想。死と背中合わせの生という同じテーマが根底にあっても、GOTIKAとはまた全く異なる領域。死に伴う悲しみが愛憎の間で揺れ動き、やがて許しへと向かっていく流れは決して明るくはないけれど希望。元から好きな曲が多いというのはもちろんあるけど、わたしが5枚の中で最も通して聴いてるのは間違いなくこちら。特に『或いはアナーキー』収録時の流れのままで残されている「無題」→「形而上流星」、その後に「Cuba Libre」「舞夢マイム」の開き直った強さ、「Moonさよならを教えて」や「LOVE PARADE」「夢見る宇宙」…透き通ったやわらかさを経て、全てをあるがまま抱擁するような「忘却」へと収束していく。夢がゆるやかに連なっている現世を表したようなこの流れ、うっとりと聴き入ってしまう。


最後は『ESPERO』=希望 ジャケはニコニコ担当のユータでぴったり、ほっこり。「memento mori」や「FUTURE SONG」「RHAPSODY」「STEPPERS」など強気でアッパーなものからBUCK-TICKの優しさの真髄「世界は闇で満ちている」「鼓動」「New World」、戯けつつも柔らかな愛情で満ちた「RANDEZVOUS」「セレナーデ」…さまざまな方向からの生命讃歌が連なる。



35周年記念というめでたい機会でも、まずは今これを言わないと、というメッセージを真っ先に差し出すのはBUCK-TICKらしい。震災やテロ、クリエーションに世の中の出来事を都度色濃く反映してきた姿勢が今回もブレずにある。そして、反乱からはじまっても最後は希望で終わる。それは彼らの優しさでもあり、祈りでもあると思う。


5つのコンセプト自体がBUCK-TICKの自認している要素だと思って改めて聴いたり、コンセプト別に分かれていることでその曲の新しい側面に気がつけたり、流れを楽しんだり、マスターの国ごとの音の差であったり、にやにや楽しみながら、そしてBUCK-TICKのありかたをもう一度確かめながら再生しました。改めてすごいバンドだ。


でも一つ言えることは!!BUCK-TICK初めての人には!!このベスト盤はむしろ!!ちょっと!!ハードルが高いかも!!です。というのは、やっぱり一つのアルバムの中でギョッとするくらい振り幅を取りつつアルバムを一貫したテーマがあるというのがBUCK-TICKの良さだと思うし、それはぜひオリジナルアルバムで体感してほしい。アルバムをアルバムで出すのにめちゃくちゃ意味があるバンドなので。

 それから真面目にこの5枚を順に聴こうと思うと、たぶん胸焼けしちゃう可能性もある…たぶん…。だからこのベスト盤をきっかけにちょろっと聞いてみて、イイかも?ってなった曲があったら、ぜひアルバムに当たってほしいです。



余談


5つのタイトルはいずれもエスペラント語で今井さんがつけたものなのだけど『FANTAZIO』について、公式のレビューにあった一文にわたしはぎゅーっという気持ちになりました。


"櫻井のはちきれんばかりの感情が詰まったこのディスクに、『FANTAZIO』=“幻想”と名付けたのは今井なりの愛情だろうか。"


最近ひしひしと思っているのは愛される音楽のまわりには優れたことばがあるということ。この紹介文も然り。(素晴らしい紹介なので読んでほしい)


雑誌やネットでBUCK-TICKまわりの素晴らしい文にたくさん触れ、的確な言葉で表す友達とLINEでやりとりしてるとわしの語彙力…ってなる。ことばと仲良くなれるのはいつになるだろう…と思うと気が遠くなるし、もしかしたらわたしは死ぬまで言葉の人にはなれないかもしれない。


 それでも、駄文でも、綴らずにはいられない。そのくらいのものを受け取っているし、受け取ったからには1人でもいいから伝えたい、パスしたいと思ってます。


ではまた!

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