SOFT BALLET
DEAD ENDのコメント欄に何回も何回も出てくるこの文字列。気になって検索をかけ動画を再生、30秒もたたないうちにナンダコレハ⁉︎⁉︎という混乱に陥った。シンセが隣にあるのに全然ひかないでくねくねダンスしてる金髪坊主の人、取り憑かれたように険しい顔で歌ってる黒ずくめな人、動き回る2人に対して微動だにせず涼しい無表情で機械いじり続ける白ずくめの人、何一つ変じゃないものが画面に写っていなくて、しかも耳から入ってくるピコピコ電子音のメロディーもこの視覚のインパクトに打ち消されることもなく脳をぶん殴ってくる。これはヴィジュアル系と呼んでいいのか?でも歌い方はヴィジュアル系っぽい、いや音楽はテクノだし格好はバラバラだし、ああ一応扱いはヴィジュアル系じゃないのね?けど関連はなんだか濃そうだし…みたいな堂々巡りをしばらくしたけれど、最終的にはもうなんでもいいや!!ってなりました。
SOFT BALLETは見た目も音楽も、既存のジャンル分けなんか軽々と飛び越えてその上でくるくる踊っていた。まだちょっとしか知らないけど、いろいろ聴くのが楽しみ。残念なことにくねくねダンスの、そしてこのバンドの作曲において明るい側面を担っていた森岡賢さんは49歳という若さですでに空に昇っています。
YouTubeにはTVでソフバとBUCK-TICKが共演して「ICONOCLASM」を一緒にやっているというとんでもねえ動画が上がっているのだけど、荒い映像でみてもあれは魔界でしかない。当時LSB(LUNA SEA・SOFT BALLET・BUCK-TICK)っていうイベントツアーがあって、ゲストがラルクとかイエモンとかだったそうです。ひえ~なにそれえって呟いちゃった。今じゃ考えられないし、暫く人間界に帰って来れなくなりそう…!いいなあ。
藤井さんはBUCK-TICK今井さんとSCHAFTもやっています。
favorite
『INCUBATE』1993
SOFT BALLETは森岡賢と藤井麻輝が半々で作曲を手掛けていて、この2人の持っているものの違いから、結構振り幅のあるバンドなのだけど、初心者はこれを聞いておけ!と言われているらしいこのアルバムも例外ではなく、天国から地獄まで、胎内から冥界まで、ぎゅうぎゅうに詰まっている。
わたしが1番最初に再生したのはここにも収録されている「WHITE SHAMAN」のテレビ番組でのパフォーマンスだった。言葉で表現できない、脳を殴られるような衝撃的な情報が目からも耳からも入ってくる。初めて見た日から1週間以上、毎日起きたときにはこの曲が頭に流れていたし、1日1回は動画を再生してしまったほどの中毒性。これをネットの身近にない時代、リアルタイムでテレビで見てしまったなら、さぞかし禁断症状がきついことでしょう…とにかくみてみてとしか言えないです。知らない人はぜひ動画で。
そしてアルバム1曲目の「PARADE」。藤井さんに傑作と言わしめた、1度聞いただけで耳についてしまうこのメロディーセンス…!わたしはこの曲にであって森岡賢という人に一気に引き込まれてしまった。一歩間違えたらただ明るくていっそつまらなくなるくらいにキャッチーなメロディだけれど、どんどん厚く重ねられてゆく音々、全然わかりやすくピコピコはしていないけれど流れ続ける打ち込みのループするリズム。そこに遠藤遼一のオペラ歌手的なずっしりダークボイスがのるともはや魔法。この人たちは音楽を音から光にしてしまう。「ENGAGING UNIVERSE」も必聴。ちなみにこちらはcali≠gariによるライブでのカバーが存在しているんだけど、それもとっても素敵なのです。
ポップでキラキラな森岡パートとコントラストをなすように、藤井パートは灰色で湿った空の下、低空飛行の末、地下世界へと誘われるよう。「TRANCECODE」「GENE SETS」はもはや歌ものですらなく、ノイズや声の濁流にのまれます。よくよく考えてみると同じアルバムに共存していることが不思議なくらいだけれど、2人の要素が融合した曲ももちろんあって、それによって形を保っている。解散後に森岡&藤井でminus(-)というユニットを結成しているけれど、同じ人が曲を作っていてもこれはもう全く別物。SOFT BALLETは遠藤ボイス、遠藤ワードありきなのだ。