fade
ボーカルJohnが参加していたYFCをきっかけに知って以来、高校時代ずっと側にありました。ハードでラウドなロックだけど突き抜けるような爽やかさと風通しのいい感傷があって、モヤモヤ、ムシャクシャした気持ちを大音量のfadeに何度吹っ飛ばしてもらったことか。
ニューヨークで結成されて日本でデビューしたバンドなんだけど、いま改めてオフィシャルサイトを見てみると“青い目のサムライ”“和洋折衷の無二のバンド”…となんだかちょっぴり胡散臭くて笑ってしまうワードを並べて国際的であるということが激推しされててわたしの知っているfadeとテンションが違うぞ?(当時俺たちはロックのカリフォルニアロールみたいなものさって言ってた。カリフォルニアロールを知らなかった中学生のわたしはなんかカッケェ気がする!とか思ってましたが、魔改造された海苔巻き…少なくともカッコ良くはないて…笑)と思ったのだけどインタビューやメンバーの言葉を読み返すうち、メジャーデビューに際して商業的に売っていこうとする周囲の示した方向と彼らの思い描いていた風景があまりにも違ってしまったこと、それがデビューとほぼ同時の無期限活動休止につながったことをやっと理解しました。たまたま他のバンドに夢中になってfadeから離れていたタイミングで無期休止のニュースが舞い込んで「え?なんで今??」「始まったばかりなのに!いつかはライブ行くつもりだったのに!!」って呆然としたなあ。平熱とはいえもちろん買っていた新しい、そして最後となってしまったアルバムから先行配信されてた「Cross Road」が光の射すようなナンバーだったから尚更…。
fadeは初めて自分で見つけたバンドでもあって、知っている人が本当に周りに誰もいなかったから、自分だけのお守りみたいな特別な存在だった。fade自体はヴィジュアル系ではない…と思うけど、お化粧してステージに上がっていて、特に5°のスタイルにはいつも度肝を抜かれていた。
実はわたしが初めて聴いた「Living on a player」は本家じゃなくてfadeによるカバーで、それで本家に当たったのがわたしのBON JOVIとの出会いだったりするよ。
favorite
『天~TEN~』2012
基本的にハードでラウドで疾走感満点。ギュンギュンに歪んだギター、無骨なベース、シャウトも入るし、ドラムの音数も多い。この手の音楽って一歩間違えるとただうるさいだけ、チャラいだけになっちゃうと思うんだけど、fadeは重さも騒がしさも心地よく聴けるギリギリのラインに落ち着いている…と思う。もちろん気分は選ぶけれど。改めて聴いてみると明度は様々なものの、ずっとだーっと駆け抜けている中に不意に一点投入された静のイメージの「Moment of Life」が映えること。「Ever Free」「REIMEI~黎明~」の突き抜けるような爽快感も単純だけど好き。めちゃくちゃ聴いた大切な1枚です。
「コズミカリズム 」2011