top of page

​SUGIZO

 一番初め、SUGIZOの存在を知ったのは、GACKT主演の「眠狂四郎無頼控」の舞台音楽を担当していたことがきっかけだった。だからすっかりインストの人だと思っていて、お恥ずかしながらわたしの中でLUNA SEA、X-Japanと結びついたのは随分後のこと…。そもそも、LUNA SEAとX-Japan2つの著名なバンドのギターを兼任し(しかもXに関してはhideの後任というとんでもないオプション付き)かつインストを中心にソロでの表現もバリバリこなすギタリストってやっぱりとんでもなくすごいお方なのだよなあ。と、思いつつわたしが普段よく聞くのはそれらのバンドやご本人単体のインスト作品よりいろんなヴォーカリストと共作の作品。しかもいわゆるヴィジュアル系界隈の外のアーティスト(最近だとGLIM SPANKYなど)ともやっていて、こんな人とも!?ってなるのもなかなか楽しい。もちろん界隈の人との作品も粒揃いで、普段聞かないアーティストでも「あれ?いいな」と思うとSUGIZOの文字を見つけ「ああ、スギ様でしたか…」となること多々。

 

わたしにはプレイがどうとか、そういうことはよくわからないんだけどね、SUGIZOのギターって青くてちょっとひんやりしててぎゅっと詰まっていると言うよりは透け感があって、乾いてて、でも軽くはなくて…絶妙にSUGIZOのギターとしか言いようがない音なのよ…好きなのよ…。

 結構SNSで政治のこととかも発言するからそれについて批判があるようだけど、音楽が娯楽的側面だけになっている今の状況、社会とつながっていることによる痛みや苦しさに目を瞑って個人的なことに終始している方、そして持ち込むなという風潮がむしろ気持ち悪いなっていう気持ちなので、誰を何を推しているかはともかくの、社会のうねりと自分の表現を切り離さないそのあり方は、信じられるって思う。

​ favorite 

『ONENESS M』2017

 ソロ20周年を機に製作されたソロアルバム…というよりはSUGIZOプロデュースの歌モノアルバム。電話1本で「歌ってくれない?」と頼める関係性の友人たちにボーカルを頼んで制作したんだとか。そうそうたるお名前が連なっております。力ある表現者同士が本気で起こした化学反応なのだけれど、それぞれが戦うというよりは合わさって一本の太い綱となるような。この力の抜け方は友人同士であるからこそなのかな。

 

 特に、青く揺らぐSUGIZOギターに、水中での呟きのようなくぐもりから痛々しいほどのシャウトまで物凄い振り幅の京(Dir En Grey)の声が載る「絶彩」は本当に素晴らしく悲しく美しい…。身近な大切な誰かへ歌っているようにも、自分自身に語りかけているようにも取れる詩が清春の仇っぽくて柔らかい声で心をさらりと撫でて行く「VOICE」、荘厳で、それでいてどこか温かいまさに光のようなMORRIE(DEAD END)の「光の涯」も大好き。TOSHI-LOW(BRAHMAN)による「Garcia」とK DubShine「Rebellmusik」の現実を見つめたひりっとする詩に対して、コントラストをなすようにSUGIZO作詞の2曲、TERU(GLAY)の「巡り逢えるなら」「VOICE」ではナイーブで内向きな心が歌われる。そのどちらも持ち合わせているから、ただ綺麗なだけじゃなくて、強くて優しい音楽が生み出されるんだろうかと改めて思っています。

 

 参加ヴォーカリスト⇄SUGIZOのコメントも公開されているんだけど、愛とリスペクトが相互に溢れていることがヒシヒシ伝わってくる。特に印象に残ったのはやっぱMORRIEの”あなたの永遠のレクイエムに”という一節でしょうか。敬愛するアーティストにレクイエムを贈られるってどういう気持ちなんだろうか…。すごくしあわせなことだろうなあ。よかったねえスギ様。

 ちなみにAlexandrosの川上洋平(わたしの高校時代の青春!!)の歌う「Daniella」の作詞はなんとGLAYのTAKURO…SUGIZOとよーぺのコラボというだけでヒャ!?ってなったのにTAKUROさんまで入ってくるんかい。盛りだくさんすぎて訳がわからないよ!

 大きな初回限定版を購入したのですが、この美しいブックレットの写真、わたしにはMORRIEの「Killing Me Beautiful」のMVを意識したものに見えて仕方ないです〜。スギ様の自意識のようなものはわたしにはとても興味深い。

©2022 Phantom  flutters  in a dream 

当サイトの無断転載・転用を禁じます。

bottom of page