DEAD END
ジャパメタからヴィジュアル系への流れを作り、HYDEやSUGIZOや清春やヴィジュアル系の外の人も…いろんな人が影響を受けた存在と挙げるDEAD END。友人におすすめされて聞いてみたらすっかり虜に。メタルやハードロックの歌い方に艶と滑らかさが足され、母音が弧を描いて落ちてゆくようなMORRIE独特の歌い方、胎児だの串刺しだのえぐいワードを盛り沢山にしつつもなぜかグロくはない歌詞の世界観、キャッチーでまさに”刺さる”ギターリフに、かと思いきや急に混ざるアラビア音階、ききやすさとDEAD ENDでしかないっていうヘンテコさのバランスが秀逸です。初期は思わずニッコリしてしまうくらいゴリゴリにメタルだけど(好き)、後期はいろんな要素を取り込んでかなりポップな音へ。でもメタルの気持ちいい、ぱあん!!って感じ(わかるかな笑)は残っている。つまり最強…。
MORRIEといえば逆立てた髪にバンダナとキツいメイクだけれど、髪もおろして、けばけばしくない薄い化粧でステージに立った89年のライブHyper d.の映像を見た時、本当に綺麗で見惚れてしまった。フレーズの切れ間に左を向くくせがあるんだけど、その時の表情もマイクを持つ指先の所作も絶妙に美しいんだよな。この時のMORRIE(25歳!?)の美しさはあっちゃんやHYDEの妖しくて色っぽい美しさとはまた別で、それこそ別次元の存在的な、もはやなにか人ならざるものが憑依してるんじゃないかっていう感じがする。温度のないきれいさ…。
でもDEAD ENDはMORRIEだけじゃない。まじまじと聴いてみると、特にライブ映像をみるとよくわかるんだけど、こんなに力強くて音数も多いのにまーったく煩くなく心地いいMINATOのドラム、シンプルでありながらグッサリと刺さるYOUギターのフレーズやサウンド、それを支えつつ本人同様結構暴れ回るCRAZY COOL JOEのベースライン…それぞれみんなすごく気持ちいい(あとJOEのファッションがとても可愛くて好き)。最近知ったわたし如きが語るなんておこがましいよなあと思いつつ、きいているうちに見ているうちに、このバンドがたびたび「伝説」ってワードで語られることにも納得した。久しぶりに音を聞くことでの抑圧からの解放をストレートに感じて、この人たちの音楽は未だ当時聴いていた人やわたしみたいに最近知った人の中にも生き続け、力を与え続けているんだろなあってしみじみ思ってます。すごいバンドです。
favorite
『ZERO』1989
前作までに比べるとかなりマイルドだけど、それでもメタル要素は有り。真っ直ぐな「I Want Your Love」で始まり、暗いところはひとつもないけれど歌われているのは破滅の光景、”刃の上で愛し合う”っていうワードがとってもらしい「So Sweet So Lonely」。ハードな人たちが作るスロウなバラードはたまらなくいい曲が多いっていう持論があるんですけど(Extremeの「More Than Words」とかね笑)この曲はまさにそれ。潔いというか、破滅に際した開直り的な強さで悪夢的状況に対峙する「HYPER DESIRE」、と思いきやアラビア感漂う「PROMISED LAND」では怪しさ満点の濃密な空気の場所へ。乱高下を繰り返しながら、アルバムは悲しいけど気持ちいい「SERAFINE」へ収束してゆく。こちら、ほんと1度聞いたら忘れられなくなる美しいナンバーなので是非きいて…。
前作『Shambara』が最高傑作と言われがちだけど、粗さがなくなって完成した感じのMORRIEの歌い方、ジャンルを超越してキャッチーさを最大限含みつつ、紛れもないDEAD ENDワールドを展開するこのアルバムもひとつの頂点だと思う。これが90年の解散前最後のアルバムになってしまったことは本当に残念。もっとこのDEAD ENDを見たかったし聴きたかったよ!でもその危うさを孕んでいたが故にこんな作品が生まれたのかもしれません。
『DEAD END Tribute - SONG OF LUNATICS -』2013
ボーカルだけでなく、既存のバンドによるカバーでもなく、はちゃめちゃに豪華なメンバーでその場限りのバンドを組んで制作されたDEAD ENDのトリビュートアルバム。具体的なお名前は文字数の関係上割愛しますが、あまりに豪華すぎて笑ってしまった。
HYDEがほぼMORRIEでめっちゃ聴き込んだんだなあと思ったり、他の人のカバーを歌う時でも基本ブレないyasuもいつもよりMORRIEよりの歌い方になってたり、もちろん楽器隊もみんなの好き!リスペクト! !って気持ちが溢れていてすごいと共になんかとっても可愛い1枚。
この時の音楽ナタリーでのMORRIE×清春のインタビューが彼らがどういうスタンスで自分の表現を作ってきているのか、清春がどれだけMORRIEをリスペクトしているかが垣間見れて面白いのでおすすめです。