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​土屋昌巳

 David Bowieのことを調べていたときに度々名前は目にしていた土屋さん。”僕はあなたになりたかった”という印象的なコメントのとおり、サウンド面にも漂う空気感にも、Bowieを感じる瞬間が結構あってこのひと本当に好きなんだなぁって思う!櫻井敦司を迎えての『森の人』の2曲をきっかけに手を伸ばしてみているところです。

 

 ボーカリストでもあるけれど、言葉の人というよりはやはり音の人。歌詞はほとんど他の方が手掛けていてノスタルジックというにはあまりにも昭和~なロマンで満ちている。だけど、曲で捉えると打ち込みのリズムはかっこいいし、YMOみたいなスタイリッシュなテクノの音もあるし、ジャズっぽい管楽器も不穏に鳴り響くし(この辺りも本当にBowieみたい)かと思えば盆踊り的なジャパニーズ音頭感もあり。この人の本領発揮するところは、実は歌が載っていないところ、間奏やちょっとした歌の切れ目だと思ってる。

 

 一風堂でのヒット曲「すみれSeptember Love」(のちにSHAZNAがカバー)もそうだけれど、ベースにあるのは歌謡曲とロックでありながらいろんな要素がぎゅうぎゅうできいていて楽しい。これほど要素ぎゅうぎゅうでも、ぱっと聴いた印象はさらっとしていて馴染みやすく仕上がっているところが土屋センス。

​ favorite 

『TOKYO BALLET』1985

やっぱり1番はBUCK-TICK「MOON LIGHT ESCAPE」の背景として語られていた「最上階のバタフライ」。この2曲は実際とっても似ているし、摩天楼から飛び立つ、空へ高く高く舞い上がる…どちらにしても向かう先は同じ。

 

 でも聴いているうち「MOON LIGHT ESCAPE」の方がこちらに踏み込んでくるというか手を伸ばされていることに気がつく。こちらはひとり別の世界を選んで飛び立ってしまうんだから、物語としては美しいけれど寂しい。そしてこの曲の各所に「Space Oddity」が重なるのはきっとわたしだけじゃないはずです。

 アルバム中唯一、土屋さんが歌詞も手掛けた「Unknown Soldier」も好き。”敵も判らなければ帰る国も無い”兵士の心が描かれているのだけど、白にも黒にも属することができないグレーな感じ、この人がそういう状況に置かれたらこうなるだろうなっていうリアルさがある。こういうシリアスだったりダークな幻想の世界観の方がおセンチなロマンスより曲にあっている気がするぅ。

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