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LONGINUS  2004

(完全なるネタバレですので、これからみる予定のある人は見ちゃダメです!!)

〜STORY 〜

 

 ​物語は戦時下、ある病院の医師を看護師が看取る場面からはじまる。医師に先立たれた"看護師"と2人の兵士が身を隠している元病院にまたこちらも2人の兵士をひきつれ"少佐"が大怪我をした女を運び込んでくる。一行の任務は「奇跡を起こす」という逸話を持った"ロンギヌスの槍"を運ぶこと。

 

 そこに謎の"男"が現れ、怪我をした女は吸血鬼だ、目覚める前に殺して焼けと忠告するが、6人は聞き入れず"男"を拘束する。”男”によればロンギヌスの槍には奇跡を起こす力に加えて普通には死なない吸血鬼を滅ぼす力があるという。槍を破壊するために吸血鬼が槍を求めており、自分はその者たちを追ってここに来たと。が、槍の奇跡を女に使うか否かで仲間内で揉めているうちに女は忽然と姿を消す。

 

  兵士たちと少佐は女を探しに地下室へ向かうが、”男”の忠告通り吸血鬼となっていた女に噛まれ病院側の兵士の1人は吸血鬼にされてしまう。兵士2人と"少佐"はどうにか吸血鬼となった者たちを地下へと閉じ込める。その間少佐側の1人の兵士は"看護師"とともに"男"の見張りをする体で残っていたが、実は槍を狙う吸血鬼の手下だった。兵士は"看護師"が目を離した隙に"男"を殺そうと試みるも、返り討ちに遭い始末される。残る2人の兵士と"少佐"は無事に戻ってきたにもかかわらず疑心暗鬼になってお互いに発砲し合い、"看護師"と"男"を残して他の全員が死ぬ。

 

  そこに"男"が追っていたロンギヌスの槍を求める吸血鬼が姿を表し、"男"とバトる。このやりとりの中で謎の"男"も実は吸血鬼だが、人間サイドについていることが明らかになる。"男"は吸血鬼に勝つがこの闘いにより深傷を負い、長く生きすぎた自分も弱った今なら死ねると"看護師"にロンギヌスの槍でとどめを刺すように求め、"看護師"は応える。

 

 …が、"男"は光の中で目を覚ます。彼は生きていた。それのみならず、奇跡を起こす槍は太陽に当たれないという吸血鬼の性質を消してしまったのである。仇敵を滅してもう生きる意味もない、俺はなんのために生きればいいのかと戸惑う"男"に"看護師"はわたしのために生きてみたらどうかと提案し、"男"もそれを受け入れる。

〜感想〜  

 

 ツッコミどころ多すぎて、展開早すぎて(本作は40分くらいの短編映画である)画面の前で1人、イヤイヤイヤイヤ!!イヤイヤ!!を連発してしまった…。以下はわたしのツッコミとそのあと思い至ったことなどをどわーっと並べたものです。

①そもそも戦時下の看護師がこんなゴスロリな格好できるかいな!!!タイトな膝上スカート!ヒール!ふりふり!!メンズたちの服がそれなりにそれっぽいのでなおさら少佐(こっちも若干キラキラしている)と看護師、2人の女性の服だけ浮いておるのよ。せめて、せめてだよ、ふたりともそんな美しい長い髪をそのまま垂らしときなさんな…笑 看護するにも闘うにも汚れちゃうし邪魔でしょう。

②兵士2人いても開かないはずの扉を開けて入ってきたこんな屈強な男(あつし)をそんなほっそい紐で普通の椅子にくくりつけたくらいで安心して良きなのですか…。絶対ダメっしょ…ほらみぃダメだったやん。いやそうじゃないとストーリー進まないのですけどね!!それはわかるんだけどね!!

③みんなわりとアッサリと撃たれたり噛まれたりして死んでいくのに少佐の死に方だけやけにグロくないですか…首、吹っ飛んでまっせ…(これに関してはおそらくホラーとかスリラーな映画で名前が知られている​北村監督の趣味かな?あまりに突然すぎてその手のものが苦手でなるたけ避けているわたしもガッツリ見ちゃったぞよ)

④お、おう、吸血鬼手下はカラコンとか爪とかくらいだったのに、あっちゃんはカラコンですらないのに、ラスボスだけちゃんと特殊メイクなん?(これに関してはあっちゃんの凛々しくて美しいお顔とのコントラストを強調して見せたんだろうか?)

⑤いや、え、?こんな強いあつし…じゃなくて男が長い年月ずっと追ってきたラスボス、唯一顔も変わるしツノも生えてるラスボス、そんなにあっさり決着ついちゃって、いいんか…?(思わず見返したら男と吸血鬼のタイマンは僅か1分、手下と戦っている時間を含めても約2分半でした。)

⑥男、血吐いてるのに(…あっちゃん、血糊似合うなあ)倒れ込むどころか膝をつきもしないのかいな!!立ってるやん!それで今なら俺を殺せる…とかいわれても!!多分無理!!無理よ!!強すぎジャン!!

⑦そしてラスト、こんなに人が死んで、ロンギヌスの槍というファンタジーでめちゃくちゃ壮大な道具もあるのに生き残った2人のぎこちないラブで終わるんかーーーい。おーい。いや、うーん、こんな惨事の後ってむしろ案外こんなものかも…?しれない…?

 そんな具合に散々に突っ込んでしまった。こんだけ言っててなんですが、すごく楽しんで拝見しました!笑

 

 ラジオで「シラフでは見られない」とご本人が言っていたのですが、ひいき目にみなくてもあっちゃんの演技は悪くない(「MOON CHILD」のHYDEの演技を繰り返しみる中で受け入れ、物語に没頭できるようになってしまったわたくしの言葉にはあまり説得力ないかもしれないけど)。とても映画1回目の演技ではないし(ラストシーンの明るい笑みだけは、ごめん!!かゆい!ごめん!!)キャラがぴったり合ってるのもいい。その点では監督ナイス!と思います。けど、ストーリー展開がなぁあ…ぁぁあ。監督のこの美学みたいなものもわからなくはないのよ。とてつもない悲劇の後に残された者たちのわずかな希望って美しい。悲劇が悲劇であるほど。けどあまりに展開がざっくり早く進みすぎる。

 この映画はきっとメッセージ性とかじゃないんだとは思うけど、それにしても主題はなんだったのだろうという感じも否めない。かと言ってとにかくあっちゃんのかっこよさをみせるぞ!!ということに全幅寄せているわけではない気もするし…。もちろんかっこいいしそれを生かそうとしているのもわかるんだけど。

 

 見た後にレビューを見返して「あっちゃんかっこいい」「BUCK-TICKファンならみるべし」みたいなコメントだけが残されていくのが腑に落ちました…。けど、これを2日ぶっ通しで撮ったというのは演者の方々もスタッフの方々もほんとすごいと心から思う。

 

 多分あっちゃんはこの先、音楽での表現に集中するような気がするけど、もしもっとストーリーそのものも充実した作品に俳優として出たら、そしてその役が今回と同じように吸血鬼とか魔王とか賢者とかダークサイドな帝王とかそういう生活感のないキャラなら、きっと好演だと思うのですよ。今作ラストのような純真なラブはなくていい。純真じゃないラブなら多分えげつなくやってくれる…かも?笑 

 

 そう考えるとデビッドボウイにとっての「地球に落ちてきた男」のように、櫻井敦司を魅せることに特化した映画ができたら、それ最高なんじゃない…?などと勝手に思ったりなんだり。わたしとしてはあれも一種のアイドル映画的だと思うんだけど、そういう側面がありながらも世界観の構築が徹底されているから作品そのものがかっこいい。ひとつひとつのカットの意味を考え出すとハテナが浮かんでしまう場面もあるけど、でもサイケでクレイジーでクールな頽廃の中にボウイを置いて彼の魅力を引き出すということが徹底されていて潔い。もちろんボウイがそれだけ魅力的な表情を持っている存在であるという前提はあるけど、そういう意味ではあっちゃん絶対いけるはず。だし、ロンギヌスで演じた男のキャラクターはとても合っていて声の発し方や在り方、ぴったりだったよ。

 

…誰か、櫻井敦司が大好きな誰か…櫻井敦司激推し熱烈プレゼン映画、作ってくれないかしら…。

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